対任天堂カルテル話への批評が謎すぎる

一組み込み屋として突っ込みを入れざるを得ないネタ。
http://digimaga.net/game/20080229/nintendo_amateurish_business/
http://digimaga.net/game/20080301/nintendo_ds_cartel_matome/


何度読んでも理解できない。


「部品屋が、カルテル結んで生産原価の底上げを狙ってました!
商品を値下げしない任天堂はひどいと思います!!」


…前提と結論がまるで結びつかない。
というか、何で消費者が原価底上げしてた部品屋を擁護するんだろ。逆じゃないか?
「定期的な原低評価を行うなんて酷い!」というのもなあ。
複数ベンダから1st,2nd選ぶのに価格を評価するのはダメ?


ちなみに、電子部品に限らず、大量生産商品の部品供給を複数のベンダに任せるのは普通。
当然コスト競争という面もあるが、むしろ一社供給の場合、問題発生等でその供給が断たれた場合、即生産がストップしてしまう事が恐いため。
生産が止まるというのは、販売の機会損失だけでなく、生産・在庫管理・輸送全てにおいて恐ろしいレベルでの損失を招くので、企業はどんな手を使っても避けたいんです。
(「ラインが止ま…」まで言われて脂汗が吹き出るのは俺だけじゃないはず)
但し、複数社から同じ数を仕入れる必要もないため、購入側は部品ベンダを評価し、評価の高いベンダから優先して購入する。
いわゆる1st、2ndベンダと呼ばれる順位分けがコレ。
当然順位の高いベンダの方が納入数が多く、1st60%,2nd30%,3rd…といった感じで発注側は納入比を決めていく。
部品屋は少しでも高いランクを得ようと鎬を削る訳だ。
当然、状況が変わればこの順位も変わることがある。

 カルテルは確かに問題だ。だが、利益のみを追求する任天堂もまた問題だろう。圧倒的な購買力を背景に、3ヶ月ごとに見積りを出しなおさせるなんてとんでもないことだ。

そこら辺の仕組みをまるごと「ケシカラン」と言われるのはある意味新鮮ですけどね!
もう少し周辺を調べた方が…

Q.利益は消費者ではなく株主に還元するべきでは?
 A.君は正しい。しかし世の中正しいだけでは生きていけない。その証拠にスティール・パートナーズがひどい目にあっているだろう?任天堂が行っているのと同じように、値段を下げられるなら下げろと消費者も声をあげる。誰だって、どこの会社だって安いにこしたことはない。当たり前田のクラッカーな話。

もう前後の論理がカオス状態。
任天堂としたって安い方がいいんじゃ?


というか、この話に限らず、最近「俺に還元せずに儲けるのは悪い事だ!」という論調が多い気がする。
別に自分が損してる訳じゃないんだからいいじゃないかと思うのは少数派なのかしらん。
他人の儲けを敵視しすぎるといつか自分も損する事になりかねないと思うんだがなあ。